第21章 遭遇<弐>
――惑血。視覚夢幻の香
何処からともなく漂ってきた不思議な香りに、炭治郎が反応する。それと同時に、汐達の前に花を基とした不思議な文様が現れた。
それはまるで反物の様に汐達を包み込み、警官たちから遮断する。
「なに・・・これ・・・?」
「汐、俺から離れるな。何かの攻撃かもしれない」
汐もわけがわからず困惑すると、炭治郎が鋭く制する。こんな状態で襲撃を受けてはまずい。二人の顔に緊張が走る。
すると誰かが汐達のほうへ近づいてい来る気配がした。
そこには一人の美しい女性と、目つきが鋭い少年がたっていた。
「あなた方は、鬼となった者にも【人】という言葉を使ってくださるのですね。そして、助けようとしている。ならば私も、あなた方を手助けしましょう」
女性は優しい声色でそう言った。その腕からは血が流れだしているが、その傷は瞬時に消え去った。
汐は眼を、炭治郎は匂いで確信した。二人は鬼だ。だが、女性の鬼の言葉に違和感を感じる。
「何故ですか?あなたの匂いは・・・」
鬼でしょう?と言いたげな炭治郎の言葉に、女性の鬼はうなずいた。
「そう。私は、鬼ですが医者でもあります。そしてあの男――」
――鬼舞辻を抹殺したいと思っている。