第147章 本音<肆>
「えーっと、反復動作って言うのは、集中を極限まで高めるために、予め決めておいた動作をするんだ。俺の場合は、念仏唱える」
「念仏?あ、そういえば・・・」
「悲鳴嶼さんもやってる!」
「そうそう、南無南無言ってるだろ」
そう言って玄弥は朗らかに笑った。
玄弥曰く、反復動作というものは全ての感覚を一気に開く技であり、全集中の呼吸とは異なるものだという。
「そうか。だから呼吸が使えない玄弥もできるのね」
「ああ。俺と悲鳴嶼さんは、怒りや痛みの記憶を思い出す。それにより、心拍と体温を上昇させているんだ」
痛みの記憶と聞いて、二人は微かに顔を歪ませた。
色々話しているうちに、もしかしたら炭治郎の痣が出た状態はそれと同じなのではないかと玄弥に指摘された。
だけど、悲鳴嶼さんにも玄弥にも痣はないから、汐達は三人で首を捻った。
「まあそれはともかく、なんとなくコツはつかめたわ。やってみましょ、炭治郎」
「ああ!」
炭治郎はそう言って汐の方を向き、途端に顔を逸らした。
「・・・」
汐はそんな炭治郎を見て、悲しそうに顔を歪ませた。
「ねえ、炭治郎。あたし、あんたを怒らせるようなことをした?」
「えっ!?なんで?」
「なんでって、あたしの事ずっと避けてるし・・・」
汐がそういうと、炭治郎は大きく目を見開いた。