第147章 本音<肆>
「でもあんた、よく気づいたわね。あたしだって今指摘されて初めて気づいたわよ?」
「そりゃ、毎日顔見てりゃ変化が分からんだろ。二人は鏡持ってねぇのか?」
玄弥の問いに、二人は同時にうなずいた。
「炭治郎はともかく、汐は持っておいた方がいいぞ。今度貸してやるよ」
「ありがとう」
炭治郎は礼を言うと、痣のある部分を指で撫でた。
「痣ね。みっちゃんから聞いたけど、いつも以上のすごい力が出せるんだって?」
「ああ。いろいろ条件はあるみたいだけどな」
「あたしは多分無理かも。体質的にどうしても出ない人がいるって聞いたし・・・」
そういう汐は、心なしか寂しそうに見えた。
「あ、そういえば。前にあたしが悲鳴嶼さんに会いに行った時、あんた岩を動かしてたわよね?」
「え?そうなのか?」
二人の期待を込めた視線に、玄弥は面食らいながらも答えた。
「ああ、動かせるよ。お前ら、"反復動作"はやってんの?」
その言葉に、二人はきょとんとしながら首を傾げた。
「やってねえのか・・・。悲鳴嶼さんも教えるの上手くねぇからな。よく見て盗まねぇとだめだぞ」
「あ、そうだった」
汐はあの時の事を思い出して、苦笑いを浮かべた。