第147章 本音<肆>
「あたし、炭治郎に嫌われたかも」
「は?何でだよ」
「わかんない。三日くらい前から炭治郎があたしと目を合わせなくなって、話しかけようとしても逃げちゃうし・・・」
「炭治郎が?」
玄弥はとても信じられなかった。人としっかり向き合う炭治郎が、誰かから逃げ出すなんてありえないと思ったからだ。
「何かの間違いじゃねえのか?」
「そうかもしれない。でも・・・」
「だったら直接炭治郎に聞けよ。俺もあいつに言いたいことがあるから、一緒に来るか?」
玄弥の言葉に、汐は驚いて顔を上げた。
「巻き込んだことを謝りたくてさ。元はと言えば、全部俺の所為だから・・・」
「馬鹿ね、あんたの所為の訳ないでしょ?炭治郎は誰かが困っていれば、自分の事よりもそっちを優先する奴だから、あんまりきにするんじゃないの」
汐はそう言ってにっこり笑った。
「炭治郎の事、ちゃんと見てるんだな」
「えっ!?」
玄弥の指摘に、汐は思わず真っ赤になって驚いた。そんな汐を見た玄弥の胸が、小さく音を立てた。
「じゃ、じゃあ。そろそろ俺は炭治郎のところに行くけど、どうする?」
「・・・・」
汐は少し渋い顔をしたが、このままもやもやとした気持ちを抱えて訓練に挑むわけにはいかない。
それに少しは気分転換にもなるだろうと、汐は玄弥の提案を受け入れることにした。