第147章 本音<肆>
「まったく、びっくりさせないでよね」
数分後、気が付いた玄弥に向かって汐は呆れたようにそう言った。
玄弥もまだ微かに赤い顔のまま、小さな声で謝った。
「っていうか、お前が俺に石を投げつけたせいじゃねーか!」
「あ、そうだったわね。そっちはごめんね。苛々しててつい・・・」
汐はそう言って困ったように笑った。
「そういえばあんた、ここのところしばらく見かけなかったけど、どうしてたの?」
「あー・・・、謹慎、してたんだよ」
玄弥はバツの悪そうな顔をしながらそう答えた。
「悲鳴嶼さんに叱られてさ。本当は俺、兄貴と接触するなって言われてたんだ」
「そうだったの」
「それと、お前の事も聞いた。兄貴と、殴り合ったって・・・」
「ええ。あたしもその件で悲鳴嶼さんに説教をくらったのよ」
あははと力なく笑う汐に、玄弥は呆れたように溜息をついた。
「でもあんたが元気そうでよかったわ。あんたと連絡が取れなくなったって、炭治郎も心配してたし・・・」
汐はそう言った途端、思わず口をつぐんだ。
「ん?どうした?」
玄弥は汐が黙ってしまった事に違和感を感じ、顔を覗き込みながら尋ねた。