第147章 本音<肆>
それと同時に、鋭い悲鳴が上がった。
「うわっ!!」
その声に汐は聞き覚えがあり、驚いた表情になった。
だが、汐が驚く暇もなく茂みの中から怒鳴り声と共に何かが飛び出してきた。
「何すんだ!あぶねえだろうが!!」
そこにいたのは、頭から湯気を吹き出しながらこちらを睨みつけている玄弥だった。
「あら玄弥だったの?ごめんなさい。不審者だと思って」
「だからっていきなり石を投げる奴がいるか!当たったら確実に死んでるぞ!」
玄弥は怒りで顔を真っ赤にしながら汐に近づいてきた。が、途中で石のように固まった。
「玄弥?」
急に動かなくなった玄弥を見て汐が怪訝そうな顔をしていると、突然そのまま全身を真っ赤にして仰向けに倒れた。
「えっ!?ちょっと、玄弥!?玄弥ってば!!」
汐はいきなり倒れた玄弥に慌てつつも、急いで介抱するのだった。