第146章 本音<参>
「これは、汐を庇って負傷した時の物です。汐は自分のせいでって落ち込んでいましたけれど、俺にとってこの傷跡は汐を守れた勲章なんです。後悔なんてしてませんよ」
笑顔を向ける炭治郎を見て、皆の心に温かいものが広がった。
「話は変わるけどよ。お前、めっちゃ米炊くの上手くない?魚焼くのもうまいしよ」
村田が褒めると、炭治郎は自信満々な顔で言い放った。
「俺、炭焼き小屋の息子なんで!料理は火加減!」
「成程」
その言葉に、皆は納得したようにうなずいた。
「あ、でも。包丁の使い方は汐の方が上手ですよ。魚の捌き方も達人並みですし、切った野菜は芸術品ですし、あと、この干物も絶品ですし・・・」
炭治郎は嬉しそうに、汐が作った干物を口にした。
「何だ、惚気かよー」
「やっぱり彼女持ちは違うな」
「この色男!」
そんな炭治郎を、吉岡、長倉、野口がからかった。
しかし炭治郎は、きょとんとした表情で三人を見つめた。
「え?彼女って、誰の事ですか?」
「誰って、お前。この流れでわからねえの?大海原と恋仲なんだろ?」
「え?俺たちそんなんじゃありませんけど」
炭治郎が答えると、一瞬時が止まったかのように皆の動きが止まった。
そして、数秒後。
「はあああーーーっ!?」
伊之助を除く全員が叫び声を上げた。