第146章 本音<参>
「あ、汐。帰ったのか。おかえり」
汐が中に入ると、間髪入れずに炭治郎の声が響いた。そして次に鼻をくすぐるのは、ご飯が炊けるいい匂い。
だが、汐は違和感を感じて辺りを見回した。
「あれ?なんか人数減ってない?」
汐がそういうと、炭治郎は表情を曇らせながら口を開いた。
「一部の人は訓練をやめて山を下りちゃったんだ。この訓練は強制じゃないから、辛くなったらやめてもいいって悲鳴嶼さんも言ってたし」
「そう。まあいいんじゃない?考え方は人それぞれだし。それよりお腹が減ったわ。干物も持ってきたし、さっさと食べちゃいましょ」
汐ははきはきと言い、持ってきた干物を焼き始めた。
部屋中にいい匂いが漂い、皆の腹の虫が奇妙な合唱を奏でていた。