第146章 本音<参>
汐は見事に丸太担ぎの修行を終え、最後の岩を押す訓練に取り掛かっていた。
だが丸太とは異なり、いくら呼吸を整えて効率的に力を込めても、岩が動くどころか自分の方が下がってしまう始末だ。
汐から遅れて炭治郎、善逸、伊之助も岩押しに加わったが、誰一人として動かすことができなかった。
そして修業を始めてから三日後。
(駄目だわ・・・、今日も全然動かせなかった・・・)
その日の訓練を終えた汐は、どんよりとした気分で休憩所へと向かっていた。
(いったい何がいけないのかしら?)
いくら考えても何故岩が動かないのか。悲鳴嶼と自分と何が違うのか。
彼に直接聞ければいいのだが、運が悪いのかここのところ姿を見ていなかった。
(考えてもしょうがないわね。とりあえず、腹ごしらえをしないと)
汐はうるさく鳴り出す腹の虫を抑えながら、重い足を引きずった。
(あ、そうだ。ついでに今日の分の干物を回収していこう)
汐は作っていた干物を取り込むと、皆が待つ場所へ向かった。