第146章 本音<参>
それから汐は、伊之助に続き滝に一刻打たれる修行を終えた。
(始めはきつかったけれど、慣れてしまえばなんてことないわね)
だが、問題はここからだった。汐の目の前には、人の胴ほどはある太さの丸太が三本あった。
悲鳴嶼は汐が女性であることを考慮して、丸太を減らすことを提案していた。だが、汐はそれじゃあ対等な修行にならないといい、男たちと同じものにしてもらったのだ。
(呼吸を使えば力は出せるけど、きっとそれだけじゃ持ち上がらないわね。効率よく、そう、一転的に・・・)
汐は丸太を眺めながら、頭の中で映像を思い浮かべた。それから、蜜璃や伊黒から教わったことを反芻し、整理していく。
「よし、まずはやってみよう!」
汐は丸太の前に立つと、手を隙間に差し入れた。そして呼吸を整え、力を集中させる。
(思い出せ、今までの事を・・・)
汐は今までの事を思い出しながら、力を一気に込めた。