第146章 本音<参>
「腹も膨れたし、丸太担いで岩押してくるわ」
「うわー、もう前向きな奴ばっか!!俺の居場所ないわ!!」
やる気満々の伊之助を見た善逸は、炭治郎を掴みながら叫んだ。
そんな善逸を炭治郎は「まあまあ・・・」と言いながらなだめるが、不意に殺意の匂いを感じて口を閉じた。
「善逸くーん」
汐は砂糖を吐くような甘ったるい声で、汐は善逸の肩に右手を置いた。
その瞬間、騒がしかった善逸の動きがぴたりと止まる。
「あんたの気持ちも分からなくはないけど、皆のやる気を削ぐような事は、ほざかないでくれるかなぁ?」
いつもより何倍も高い声と、花のような笑顔でそういう汐に、炭治郎も善逸も全身を真っ青にしながら震えだした。
「うわああああ!!ごめんなさい!ごめんなさいぃいいい!!」
善逸は泣きながら、汐の前に土下座した。
「俺が悪かったです!ごめんなさい!ごめんなさい!女王様ぁあああ!!」
泣きじゃくりながら土下座をする善逸を、それを見下ろす汐を見て、炭治郎を含めたみんなは固く心に誓った。
この鬼よりも鬼のような少女を、絶対に怒らせてはならない、と。