第145章 本音<弐>
その後、汐と炭治郎はまたしばらく滝に打たれた後、昼餉の時間を迎えた。
といっても食事は米と以外は自分で調達せねばならず、炭治郎と伊之助は川魚を何匹か獲り、焼き魚にしようとした。
汐はヤマメを三枚に綺麗に下ろすと、悲鳴嶼から塩と容器を借りて塩水に漬け込んだ。
皆が何をしているのかと寄ってくると、汐は歯切れのいい声で言った。
「ヤマメの干物を作るのよ。普通に焼いてもおいしいけれど、干した魚を焼いて食べると絶品よ。まあ、作るのに時間がかかるから、食べられるのは明日になるわね」
汐はそう言って容器に蓋をしながら言った。
「半刻程漬けたら、風通しの良い場所に干しておくの。あ、言っておくけどそこの馬鹿猪!!絶対に触るんじゃないわよ!もしも勝手に食べたりなんかしたら、同じことを全部あんたにやらせるからね!」
「わーったよ!うっせぇな!!」
伊之助は悪態をつきながら、炭治郎と共に火おこしを行い魚を焼き始めた。
川辺に若者たちの笑い声が響き、それを木の陰から見ていた悲鳴嶼は、口元に笑みを浮かべた。