第145章 本音<弐>
同時刻。
どこかにある産屋敷邸では、緊迫した空気が流れていた。
「御足労頂き、誠にありがとうございます」
そう言って深々と頭を下げるのは、産屋敷輝哉の妻、あまね。
その前には元・音柱の宇髄が、静かに据わっていた。
「こちらこそ、ご報告が遅れてしまい申し訳ございません」
宇髄はそう言って頭を下げると、あまねの前に一冊の文献を差し出した。
「こちらが元・海柱、大海原玄海の居住していた場所から見つかったものです。そして、大海原家とワダツミの子の関連性が判明いたしました」
宇髄はいったん言葉を切ると、重々しく口を開いた。
「大海原家とは、代々ワダツミの子を監視し、あわよくば抹殺するために存在した、初代ワダツミの子の子孫からなる一族でした・・・」
宇髄の言葉に、あまねは微かに身体を震わせたのだった。