第145章 本音<弐>
「あ、あんたは確か・・・。村・・・」
「村田だよ・・・、いい加減い覚えろよ」
「いやあたし・・・、村田っていおうとした・・・わよ?あたしどんだけ・・・馬鹿に思われてるの?」
あまりの事に汐は叫びそうになるが、身体が冷え切り疲労も蓄積していたため、小さい声しか出なかった。
「あ、汐・・・」
その向こう側には、同じく歯をガチガチならしながら岩にへばりつく、炭治郎の姿があった。
「まあ、それはともかく・・・、お前もすげぇな・・・」
「な、何がよ・・・?」
「お前も炭治郎も猪も、すげぇよ。俺なんて、初日滝修行できるようになるの夕方だったぜ。なかなか水に慣れなくて・・・」
村田は歯をガチガチ言わせながら、震える声でそう言った。
「滝に打たれるだけなのに、本当にきついですね・・・。高い位置から落ちてくる水が、あんなに重いなんて・・・」
「本当よ。下手したら首が折れるもの・・・」
炭治郎と汐は、変な笑い声を上げながら岩に頬を寄せた。
「取りあえず、一刻滝に打たれ続けられるようになったから、俺はこれから丸太の訓練だ・・・」
「す、すごいですね村田さん・・・」
「と、十日いるからな・・・」
「それは、ご愁傷様・・・」
三人は動けるようになるまで岩に張り付き、落ち着いたころに村田は次の訓練へと向かった。