第144章 本音<壱>
「まったく、ただでさえ怪我人が増えて大変だというのに、あなたは無茶をしすぎです!!」
アオイは汐のベッドに近づくと、ガミガミと叱りつけた。しかし、それが汐を心配していることは当然気づいていた。
「そうね、今回はちょっとやりすぎたかも。あんた達にも迷惑を掛けちゃったわね。ごめんなさい」
「誰も迷惑だなんて言っていません!!無茶をするなと言ったんです!!」
アオイはそういうと、頭から湯気を出しながら出て行った。
「とにかく、今日は一日休んでいってください。先ほど岩柱様の許可もいただきましたので」
「え、悲鳴嶼さんが?」
汐が尋ねると、先ほど鎹鴉を通して汐に悲鳴嶼から訓練の延期を告げる知らせが届いたという。
そして汐も、炭治郎同様実弥との接近禁止が命じられた。
(まあ、当然よね)
汐は小さく笑うと、ベッドに横たわった。傷は痛むが、久しぶりにゆっくり眠れそうだ。
そう考えて目を閉じた、その時だった。
「汐ーーーーー!!!!」
何処からか声が聞こえたかと思うと、大きな足音がこちらへ近づいてくる。
そして、扉が大きく開かれると
「汐!大丈夫か!?」
鼓膜が破れんばかりの大声で、炭治郎が病室へと入ってきた。