第142章 譲れないもの<参>
(でももし、もしも汐が誰かに恋をしているなら、相手は誰なんだ?鉄火場さんは、多分鋼鐵塚さんだろうけれど、汐は・・・)
炭治郎の脳裏に、明るく笑う汐の姿が蘇った。
(汐は怒ると怖いけれど、明るくて優しくて、そして強い女の子だ。だから汐の周りにはたくさんの人がいる。でももし、その中に汐の好きな人がいるとしたら・・・いったい誰なんだろう?)
もしも汐に好きな人が本当にいるなら、ぜひとも応援したい。だが、その気持ちとは裏腹に、何故かもやもやとした奇妙な感覚がまとわりついていた。
(誰なんだ?汐の好きな人って・・・)
その事が気になり、結局炭治郎は一睡もできずに訓練に臨み返り討ちになった。
汐の想い人が自分であることなど露知らず・・・。