第139章 千里の道も一歩から<肆>
「それよりもみっちゃん。あたしそろそろ訓練始めたいんだけど・・・」
「あ、そうだった。その事でしおちゃんに伝えたいことがあったの」
蜜璃の言葉に、汐は怪訝そうな顔を向けた。
「正直なところ、しおちゃんは訓練を完ぺきにこなしているから、本当はすぐにでも合格を出したいの」
「出したいってことは、なんか理由があるのね」
汐が尋ねると、蜜璃は真面目な表情で頷いた。
「理由というよりも、私があなたときちんと話したいの。言い方は悪いけれど、二人しかいない今が好機だと思って」
蜜璃のただならぬ雰囲気に、汐は思わず身体を震わせた。
「しおちゃんは、炭治郎君に想いを伝えるつもりはあるの?」
「えっ!?」
思ってもみなかった問いかけに、汐は飛び上がる程驚いた。
汐が炭治郎を好きなことは勿論知っている。だが、今まではこのような話をしたことがなかった。
"目"を見てもからかいの意思は微塵もなく、汐を見つめる表情は真剣そのものだ。