第139章 千里の道も一歩から<肆>
踊りだす汐に皆の視線はくぎ付けになった。しっかりした体格からは想像もできない程、しなやかで柔らかな動き。
ふわりと舞う度に青い髪が揺れ、飛び散る汗すらキラキラと輝く。
皆は痛みも息をすることも忘れて、汐の踊りに魅入っていた。
「はい。ありがとう、しおちゃん。さあ、皆もやってみましょ!」
皆は音楽に合わせて足を上げたり、リボンを回したりして踊った。しかし誰も、汐のようにしなやかな動きはできない。
男と女では体格や筋肉の付き方に差があるため、汐と同じ動きはどうしてもできない。
そんな彼等を蜜璃は指導するのだが、蜜璃は炭治郎と同様説明が恐ろしく下手なため、あまりいい成果は出なかった。
前半の訓練を終えた汐は、流れ出る汗を拭きとった。
と、同時に腹の虫が盛大に鳴いた。
「お疲れさま、しおちゃん。お腹が空いたでしょ?」
「そうね。もうぺこぺこだわ」
「じゃあそろそろおやつにしましょう。パンケーキを焼いて・・・、あっ、しおちゃんは甘いものが苦手だったわね、ごめんなさい」
蜜璃はそう言って申し訳なさそうな顔をするが、汐は真剣な表情で言った。