• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第138章 千里の道も一歩から<参>


「ありがとう、汐」
「え?」
「君が僕の戦う理由を思い出させてくれた。大切な人を失う悲しみを、これ以上誰かに味わわせてはいけない。誰かの役に立ちたい。これがまごうことない、僕の本当の気持ちだ」

そう言い放つ無一郎の"目"は、柱としての決意と責任感が見て取れた。それを見た汐は、改めて自分の前の少年が柱であることを再認識した。

「そこまで言われちゃ、あたしもあんたに答えないとね。明日からさらに気合を入れるわ!こちらこそよろしくね、時透くん」

汐がそう言った瞬間。

「は?」

無一郎は唇を思い切り尖らせ、眉間に深く皺を寄せた。"目"からは決意が失せ、不満と不快感が現れている。
まるで、欲しいものを買ってもらえなかった子供のような顔になっていた。

「何その呼び方。前に言った事もう忘れたの?僕の事は無一郎でいいって言ったよね?」
「えーっ、だって。そこまで柱としての威厳のあるあんたに、呼び捨てはちょっと・・・」
「炭治郎や玄弥は名前で呼んでるくせに、なんで僕だけ扱いが違うの?おかしくない?」

無一郎は更に唇を尖らせ、拗ねた感情を隠そうともせずに捲し立てた。

「わ、分かった、分かったわよ。ごめんね、無一郎」

汐がそう言うと、無一郎の表情は途端に年相応の明るいものに変わった。
それを見た汐は(ちょっとめんどくさいな)と、心の中で小さく悪態をつくのだった。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp