• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第137章 千里の道も一歩から<弐>


思えば、カナヲは生い立ちのせいで自分から動くことがほとんどできず、指示をされていない事は銅貨を投げて決めていた。

それが、汐や炭治郎達と出会ってから、カナヲは心身ともに大きく成長した。

汐が記憶をなくした時、初めてカナヲから直談判をされたときは本当に驚き、そして嬉しかった。

「カナヲも随分、自分の気持ちを素直に言えるようになりましたね・・・。いい兆しです」

その時と同じように、自分の気持ちを素直に言えるようになったカナヲを見て、しのぶは一つの決心をした。

「やはり、良い頃合いだわ」
「?頃合い?」

カナヲが尋ねると、しのぶは表情を引き締めて言った。

「カナヲ。これから私の話すことをよく聞くのです」
「えっ、は、はい」

いきなり何を言い出すんだろうとカナヲの表情が不安げになる。

「私の姉、カナエを殺した、その鬼の殺し方について話しておきましょう」

驚くカナヲをしり目に、しのぶはその鬼の特徴を事細かに話し出した。
そして、その鬼を倒すための手段を。

その話は数十分続き、話を終えたカナヲは青ざめた顔で部屋を後にした。

(そんな・・・。そんなことって・・・)

カナヲは激しく脈打つ心臓を、ぎゅっと握りしめるように隊服を掴んだ。

(でもこれは師範が、しのぶ姉さんが決心した事。そして、私との約束・・・)

カナヲはぎゅっと目を閉じた。浮かぶのは炭治郎と、汐の顔。

(私、ちゃんとやれるかな。ねえ、炭治郎、汐・・・)

カナヲの小さな心のつぶやきは、誰の耳にも届くことはなかった。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp