第137章 千里の道も一歩から<弐>
「では、用件を話しましょうか」
そんな騒がしさに目もくれず、鴉は淡々と言葉を紡いだ。
「鬼殺隊にも、鬼の体と薬学に精通している子がいるのですよ。禰豆子の変貌も含めて一緒に調べて頂きたい」
「一緒に・・・?」
珠世が尋ねると、鴉は驚くべき言葉を口にした。
「鬼舞辻 無惨を倒すために、協力しませんか?産屋敷邸にいらしてください」
「!?」
思いもよらぬ提案に、珠世の心臓が大きく跳ねあがった。
(鬼である私を、鬼殺隊の本拠地へ・・・!?)
「勿論、今すぐにとは言いませんが、一刻を争う。それに、貴女も我々と目的は同じ。悪い話ではないはずだ」
珠世は早鐘のように鳴る心臓を抑えながら、鴉を見つめていた。
と
「珠世様ああああ!!!」
部屋中に響き渡る大声で、愈史郎が部屋の中へ突進してきた。それと同時に、鴉もまた闇夜に姿を消すのであった。
「珠世さん。迅速な検討をお待ちしております」
その言葉を残したまま。