第137章 千里の道も一歩から<弐>
「で、ここではどんな訓練をするの?」
「ああ。基礎体力の向上訓練っつって、まあ早い話が走り込みだ。この土地をひたすら、死ぬ寸前まで走る訓練だ」
「そりゃあまた単・・・、分かりやすい訓練だわ」
汐が皮肉めいた笑みを浮かべると、後方から甲高い声が聞こえてきた。
「あーーっ、青い髪の子!お久しぶりー!!」
汐が振り返ると、そこには見覚えのある三人の女性がいた。
「こら須磨!!あんた何仕事を放り出してるんだい!!」
「お久しぶり、汐さん。ごめんね、騒がしくて」
汐を見つけるなり騒ぎ立てる須磨、それを怒鳴りつけるまきを、その二人を諫める雛鶴だった。
「お久しぶり、皆。あの時は皆を助けてくれて本当にありがとう」
汐が礼を言うと、三人は意外そうに目を見開いたがにっこりとほほ笑んだ。
「おいアホ娘!んなところで無駄口叩いてねえで、とっとと準備しろ」
宇髄の言葉に汐は返事をすると、雛鶴に連れられて荷物を置きに行った。
そんな汐の背中を、須磨は複雑な表情で見ていた。