第135章 為すべきこと<参>
「そもそも、柱たちと対等に肩を並べていい人間ですらない。俺は彼らとは違う。本来なら鬼殺隊に、俺の居場所はない」
炭治郎の目には涙がたまり、零れ落ちそうになった。胸が痛くて痛くてたまらなかった。
「柱に稽古をつけてもらえ。それが一番いい。俺には痣も出ない。・・・錆兔なら、出たかもしれないが」
義勇は言葉を切ると、二人に背を向けた。
「二人共、もう俺に構うな。時間の無駄だ」
義勇はそれだけを言うと、そのまま歩きだした。
炭治郎は何も言葉をかけることができなかった。声が出なかった。
義勇の気持ちが、痛いほどわかるから。
自分よりも生きていて欲しい人が、自分の為にいなくなってしまったらとても辛い。
心が抉られるような辛さだ。
そんな彼を、汐は黙ってみていたが不意に口を開いた。
「待ちなさい」
その瞬間、義勇の足が止まった。いや、止まったのではない。止められた。
ウタカタを発動したわけでもない。だが、何故か義勇は動くことができなかった。
「先に無礼を謝っておくわね。ごめんなさい」
汐はそう言って義勇の腕を強く引き、こちらを振り向かせた瞬間。
汐は義勇の右頬に、渾身の平手打ちを叩き込んだ。