第135章 為すべきこと<参>
「ああもう、じれったい。炭治郎、ちょっとどいて」
汐は炭治郎を押しのけると、大きく息を吸い拳を振り上げた。
「ちょっと冨岡さん!!いるのはわかってんのよ!!居留守なんか使ってないで、さっさと出てきなさいよ!!」
汐は声の限り怒鳴りながら、凄まじい音量で扉を叩きだした。
あまりの音に周りの鳥は一斉に飛び立ち、道行く人は何事かと足を止めた。
それを見た炭治郎は、慌てて汐を制止させようとした。
「わー、汐やめろ!それじゃあ取り立て屋みたいじゃないか!」
「うるっさいわね。いくら呼んでも出てこない冨岡さんが悪いのよ!あーもう、これじゃあ埒が明かないじゃない!」
汐は苛々と頭を振り、どうしたもんかと考えていた時だった。
「入ってみよう」
「そうね」
炭治郎の言葉に汐は頷くが、ふと一瞬我に返ると思わず声を上げた。
「って、ええっ!?あんた今、なんて言ったの?」
「入ってみようって言ったんだ。行こう、汐」
「いやいやいやいや!!あんたの方がよっぽどとんでもないことしてるわよ!?取り立て屋よりやばいことしてるわよ!?」
汐が顔を崩壊させながら突っ込むが、炭治郎は意も解さず「すみませーん、入りますねー」と言って扉を開けた。
(この純粋さが時々怖くなるわ・・・)
汐は呆れながらも、炭治郎の後を追った。
扉を開ければ、なんとも言えない表情をした義勇と目が合った。
(うわ、相変わらず何を考えているんだかわかんない"目"をしてるわ、この人・・・)
汐は顔をしかめつつも、炭治郎と並んで義勇の前に座った。