第135章 為すべきこと<参>
「わー、汐やめろ!それじゃあ取り立て屋みたいじゃないか!」
「うるっさいわね。いくら呼んでも出てこない冨岡さんが悪いのよ!あーもう、これじゃあ埒が明かないじゃない!」
苛立ちを孕んだ汐の声が聞こえ、義勇はこのまま炭治郎が汐を連れ帰ってくれることを願った。
正直なところ、義勇は汐が苦手だった。
苦手というよりは、今まで出会った事のないタイプの女性だったため、扱い方が分らないのだ。
それ程まで、歩く爆発物のような汐は、義勇にとって未知の存在だった。
だが、次の炭治郎の声で義勇の願いは粉々に吹き飛ぶことになった。
「じゃあ入ってみよう。すみませーん、入りますねー」
その言葉に、義勇は耳を疑った。
(入ります?いや・・・。帰りますだな、聞き間違いだ・・・)
しかしそれは聞き間違いではなかったことが、扉の向こうから現れた炭治郎と汐の姿を見て嫌でも気づかされるのだった。