第135章 為すべきこと<参>
柱の方も、隊士との訓練によって自分自身の能力の向上も見込まれ、痣が出ている者は痣状態でいられるように。
まだ痣が出ていないものには、痣を出せるようにするという目的もあった。
その過程で、得た情報は隊全員に伝達・即共有で、隊全体の力を上げていた。
来たる戦いに備えて。
だだ、一人の男を除いては。
「・・・・」
その日、水柱・冨岡義勇は一人、自身の屋敷で瞑想をしていた。
今頃、他の柱達は隊士達との訓練に精を出しているころだろう。
聞こえるのは自分が生きている音と、外から聞こえる鳥のさえずりだけだった。
ほんの、数秒前までは。
「ごめんくださーい!冨岡さーん!!」
屋敷の外から聞き覚えのある声が聞こえた。
義勇は小さく肩を震わせるが、聞こえなかったことにして瞑想を続けた。
「こんにちは、すみませーん。義勇さーん、俺ですー。竈門炭治郎ですー」
しかし、炭治郎の声は一向に止まる気配がない。
それでも義勇は、声に答えることなく目を閉じた。
「ああもう、じれったい。炭治郎、ちょっとどいて」
外から聞こえた別の声に、義勇は思わず目を見開いた。
(大海原も来てるのか・・・!?)
「ちょっと冨岡さん!!いるのはわかってんのよ!!居留守なんか使ってないで、さっさと出てきなさいよ!!」
汐の怒鳴り声と共に、扉を叩く大きな音が屋敷中に響き渡った。