第135章 為すべきこと<参>
「でも、冨岡さんとしのぶさんは不参加なんですって」
「冨岡さんとしのぶさんが?どうして?」
「詳しくはみっちゃんもわからないみたいだけど、しのぶさんは凄く大事な用事があるみたい。冨岡さんは・・・、なんか妙なことを言ってたらしいわ。『俺はお前達とは違う』って」
汐の言葉に、炭治郎の目が不安げに揺れた。
「どういう意味なんだろう」
「さあ?ひょっとして、『雑魚とは違うのだよ、雑魚とは!!』みたいな感じかしら」
「冨岡さんがそんなことを言うわけないだろう。それに、その言葉はなんだかすごく危険な気がする」
うーんと二人が首をひねっていると、突然窓の外から何かが飛んで来る気配がした。
汐が顔を動かした途端。黒い塊が二つ、ものすごい速さで飛んで来るのが見えた。
一つは炭治郎の額に。もう一つは汐の脇をすり抜け、壁に激突した。
「ギャアアアアアッ!!」
「なっ、なっ・・・」
炭治郎は悲鳴を上げて額を抑え、汐は目を白黒させた。
炭治郎に激突した黒い塊はけたたましく鳴いた。
「うわぁ、血が出た!急に何するんだよ!酷いな」
よく目を凝らせば、それは炭治郎の鴉であり、炭治郎を嘲るように何度も鳴いた。
そして壁にぶつかっていたのは、汐の鴉だった。
「タユウ!?び、びっくりするじゃない!!ダツみたいに突っ込んでくるんじゃあないわよ!!」
汐も驚きを怒りに変えて詰め寄ると、タユウはいつも通りに間延びした声で鳴いた。
「と、ところで二人、いや、二羽とも。どうしたんだ?」
落ち着いた炭治郎が問いかけると、二羽の鴉はほぼ同時に咥えていた手紙をそれぞれに渡した。