第135章 為すべきこと<参>
柱は警備担当地区が広大なうえ、鬼の情報収集や自身の更なる剣技向上の為の訓練。その他諸々やることがたくさんあった。
その為圧倒的に時間が足りず、隊士の育成が不十分だった。
「でも、この間の刀鍛冶の里の事件以来、鬼が全然出なくなったの。どうしてか分かる?」
「うーんと、考えられるのは・・・。禰豆子が太陽を克服した事・・・」
「そう。無惨はきっと禰豆子ちゃんを狙ってくるから、きっと大きな戦いになると思う。そのためにも私達はもっともっと強くならないといけないから、皆の戦力向上の為に悲鳴嶼さんが提案したのよ」
そう言う蜜璃は、まるで自分の事のように誇らしげだった。
「参加するのは私の他に、伊黒さん、悲鳴嶼さん、無一郎君、不死川さん、そして、元柱の宇髄さん」
「え、宇髄さんも?」
「話を聞いたらノリノリで参加してくれたそうよ。最近いろいろあって鬱憤がたまっていたからちょうどいいって笑ってたって」
嬉しそうに話をする蜜璃を見て、汐は少し困ったように笑った。
「ん?あれ?今出した名前に、冨岡さんとしのぶさんが入っていないけれど、どうして?」
汐が唐突に尋ねると、蜜璃の表情が明らかに曇った。
「冨岡さん、何だか元気がないみたいなの。会議の時も『俺はお前達とは違う』って言って不死川さんと喧嘩になりそうだったから、何か悩み事でもあるのかもしれないわ」
「しのぶさんは?」
「しのぶちゃんは、何か大切な用事があるって言ってたわ。稽古よりも大事な事って、よっぽどの事なのね。心配だわ・・・」
悲し気に目を伏せる蜜璃を見て、汐も何とも言えない気持ちになった。