第134章 為すべきこと<壱>
「強化、強化、強化!!合同強化訓練が始まるぞ!!」
伊之助は興奮しきっているのか、身体についた硝子の破片を気にも留めずに叫んで走り回った。
「強い奴らが集まって、稽古つけて・・・何たらかんたら言ってたぜ」
「?なんなんだ、それ」
炭治郎が尋ねると、伊之助は胸を張って「わっかんねえ!!」と答えた。
飽きれて呆然とする炭治郎だが、汐が妙に静かであることに気づくのに少しだけ遅れた。
視線を移せば汐は俯いたまま小刻みに震えており、はっきりとわかる怒りと殺意の匂いが鼻を突き刺した。
その雰囲気は後藤にも伝わった。善逸を再起不能にすると宣言した時よりも、明らかに怒りの度合いが違う。
二人の背中を、冷たいものが伝った。
「人の部屋で騒ぐなって、何回何十何百何千回も言ったはずなのに、あんたはこれっぽっちも懲りていないようねぇ・・・」
汐の地の這うような声が響き、炭治郎と後藤は顔を引き攣らせた。