第134章 為すべきこと<壱>
「そのせいか分かりませんが、最近になってよく手紙をもらうようになったのです。私の仕事ぶりを見たいとか、話がしたいとかそう言う内容の手紙が」
「そうなんですか。いったい誰が・・・」
「・・・全部男からだがな」
炭治郎の問いを遮って、鋼鐵塚がぶっきらぼうに言った。
「この人、私が手紙をもらうようになってから、ずっと不貞腐れているんですよ。訳を聞いても答えてくれないし。あ、不貞腐れるのはいつもの事なのですが、今回はそれが長いような気がして」
何故でしょう?と首を傾げる鉄火場を、後藤は何故か羨ましそうに見ていた。「汐殿、本当にありがとうございました」
「えっ?」
突然頭を下げた鉄火場に、汐は思わず声を上げた。
「私は、自分の腕が未熟なこと、女であることからずっと逃げてきたのです。ですが、貴女と出会ったことで、私は自分を偽ることをやめました。どんなに取り繕っても、所詮私は私なのだということに気づいたのです」
「鉄火場さん・・・」
「これからは、ありのままの自分で生きて行こうと思います。本当に、本当にありがとうございました!!」
鉄火場の声には一切の迷いも恐れもなかった。面で顔は見えないが、きっと晴れ晴れとした表情をしているだろう。
「それから、炭治郎殿」
「は、はい!!」
「これからも、汐殿をよろしくお願いいたします」
「は、はい!!・・・って、ええっ!?」
「ちょっ・・・」
炭治郎と汐は真っ赤になり、うまく言葉を紡ぐことができなかった。