第134章 為すべきこと<壱>
「あ、そう言えば!」
汐は思い出したように鉄火場の方を向くと、少しどもりながら訪ねた。
「鉄火場さん、あの後大丈夫だったの?その、鉄火場さんが・・・」
「私が女であること、ですか?」
鉄火場があっけらかんと答えると、ほぼ全員が肩を震わせた。特に後藤は目をこれ以上ない程見開き、鉄火場を凝視していた。
「あの件で私の性別がほぼ里の者に知られたのですが、驚くことに知っている者は知っていたんです。むしろ、知らなかった者の方が少なかったくらい」
「ええっ、そうだったの!?」
「はい。この人も、私が女であることを知ったら、しばらく石のように固まっていましたよ」
くすくすと笑いながらそう言うと、鋼鐵塚は「うるせぇ」と小さく言ってそっぽを向いた。
「勿論、奇異の目で見る者はいました。ですが、私の打った刀が上弦の鬼を討伐したということで、里の者の考え方が少しずつ変わってきたように感じました」
「そう。よかった。あたし、実は心配してたのよ?鉄火場さんが里を追い出されちゃったらどうしようって。もしそうなったら、里に怒鳴り込んでやるって思った」
「こらこら汐。流石にそれはやりすぎだ」
張り切る汐を炭治郎が諫め、それを見た鉄火場の面から、軽快な笑い声が漏れた。