第134章 為すべきこと<壱>
「とにかく!!」
そんな空気を切り裂く様に、鋼鐵塚の声が響く。
「炭治郎」
「は、はい!!」
不意に呼ばれた炭治郎が返事をすると、鋼鐵塚は突然炭治郎の髪を掴んで言った。
「お前は今後、死ぬまで俺にみたらし団子を持ってくるんだ。いいな、分かったな」
「は、はい・・・。持っていきます」
ひょっとこの口が炭治郎の頬に刺さる程顔を近づけながら、鋼鐵塚は震える声で言った。
「ちょっと、何をしているんですか。二回り近く下の子に集るなんでみっともない」
鉄火場は鋼鐵塚を引きはがすと、呆れたように言った。
「そんなにみたらし団子が食べたいなら、私が作りますよ。だから少しは落ち着きなさい」
鉄火場がそう言った瞬間、鋼鐵塚の動きがぴたりと止まった。
「は、鋼鐵塚さん・・・?」
まるで石のように動かなくなった鋼鐵塚に、炭治郎が恐る恐る声を掛けると、
「止めろおおおおおお!!!俺を殺す気かァァアア!!」
突然、断末魔のような叫び声が鋼鐵塚の口から飛び出した。
そんな彼からは、まごうことなき恐怖の匂いが漏れていた。
「殺すだなんて心外な。あの時はたまたま失敗してしまっただけで、次は・・・」
「たまたまで歯が折れそうなほどの強度の団子ができるのか?喉が焼けるようなタレができるのか?あんな劇物生み出しやがって。あの時、危うく俺は死ぬところだったんだぞ!!」
先程と同じくらいの怒りの炎を纏いながら、鋼鐵塚は鉄火場に詰め寄った。
それを見ていた汐達は、同じ考えを胸に浮かべた。
(鉄火場さん・・・、料理、苦手なんだ・・・)
口論する二人を見て、汐達は何とも言えない気持ちになった。