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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第134章 為すべきこと<壱>


「懐剣の用途は護身の他に自害、暗殺などだ。だが、これは使った形跡が殆どなかった。おそらく、一度も使わなかったか、もしくは使えない者が何らかの理由で所持していたのだろう」

「そう・・・って、鋼鐵塚さん。あんたなんでそんなこと知ってるの?これを研いだのは鉄火場さんなんでしょ?」

汐が問いかけると、鋼鐵塚の肩が小さく跳ねた。

「実は、蛍は私の仕事を少しだけ見てくれたんですよ」

代わりに答えたのは鉄火場だった。

「この懐剣が日輪刀だと気づいたのは、蛍が炭治郎殿の刀を研磨する少し前でした。日輪刀となれば研磨の方法が違う。私は師匠に叩き込まれた研磨術を思い出しながら仕事をしていたんです」

だが、研ぎ終わる前に鬼が里を襲撃したため、結局研ぎ直しになってしまったという。

「そんな時、この人が私にいろいろと教えてくれたんですよ。最も、相も変わらず上から目線でしたが」
「それはお前が未熟だからだろうが。あんな調子でいたら、何年かかるかわかりゃしねぇ」

そう言う鋼鐵塚の声が優しいことに、汐と炭治郎が気づいてほほ笑んだ。

「この懐剣は、是非とも汐殿がお持ちください。貴女の故郷で見つかったからだけではなく、これは貴女がもつべきです」

「どうしてそう思うの?」

「確かな根拠はありませんが、しいて言えば【勘】でしょうか。こういった類の物はあまり信用しないのですが」
「ううん、ありがとう。大切にするわね」

汐は懐剣を受け取ると、抱きしめるようにそっと胸に当てる。
喜びの匂いを感じた炭治郎は、その嬉しさにつられるように微笑んだ。
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