第134章 為すべきこと<壱>
「凄い・・・。漆黒の濃さが違う」
「鉄も質が良いし・・・、フゥ、前の持ち主が相当強い剣士だったんだろう・・・、フゥ」
座って少し落ち着いたのか、鋼鐵塚はそう語った。
刀を眺めていた炭治郎は、刀身に刻まれているある文字に目が行った。
「滅の文字・・・」
「これを打った刀鍛冶が、全ての鬼を滅する為に作った刀だ」
すっかり落ち着いた鋼鐵塚は、再び語りだした。
「作者名も何も刻まず、ただこの文字だけを刻んだ。この刀の後から階級制度が始まり、柱だけが悪鬼滅殺の文字を刻むようになったそうだ」
その説明に炭治郎は身体を震わせ、息をのんだ。この話が本当なら、今自分の手にしている刀は、全ての始まりの刀であるということだろう。
「そうなんですね、すごい刀だ・・・」
刀を鞘にしまっていた炭治郎は、ある事に気づいた。
「でも、前の戦いでこれを使った時は、文字が無かったような・・・」
炭治郎が何気なくそう口にした瞬間、鋼鐵塚の動きが止まった。
そして一拍置いた後、彼の全身を怒りの炎が包んだ。