第133章 光明<肆>
やがて少し間が開いた後。
「あいつ、どこにいる?ちょっと殺してくるわ・・・」
「物騒なこと言わないで!!
緩み切った表情は伊之助に対しての憎悪と嫉妬に歪んだものになり、口からは血が流れ出ていた。
それを慌ててアオイは止めようとするが、その足は不意にぴたりと止まった。
善逸の前に立っている人物の気配を感じたからだ。
「あら、おかえり善逸。相も変わらず元気いっぱいね」
「あ、う、汐・・・ちゃん」
善逸の程までの怒りに歪んだ表情が、みるみるうちに怯えたものへと変わっていく。
「ちょうどよかったわ。腕が固定されていたせいか、少し違和感があるの。訓練、付き合ってくれるわよねぇ?」
「え、ちょっ、汐ちゃん・・・待って・・・やめて・・・!!」
汐はにっこりと笑いながら善逸に近づき、閉じていた目を開けた。そこには、鬼も震えあがるような光の無い目だった。
「ギイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
その瞬間、善逸のこの世のものとは思えない断末魔の叫びが、屋敷中に響き渡った。