第132章 光明<参>
その報せに喜んだのは、汐達だけではなかった。
どこかにある、どこかの大きな屋敷。その一室で一人の少年は積み上がった本を戻そうとしていたが、突然目を見開き本を全て床に落とした。
無造作に転がる本が無作法な音を立てるが、少年は拾おうともせずに立ち尽くしていた。
「あら?」
女中と共に現れた養母の女性は、その光景を見て不思議に思いながらも笑顔で問いかけた。
「俊國、どうしたの?こんなに散らかして」
養母がそう言うと、少年は歓喜に身体を震わせながら口を開いた。
「ついに、ついに太陽を克服する者が現れた・・・!!よくやった、半天狗!!」
そのあまりの喜びように、少年は裏返った声で部下の名を呼び褒めたたえた。
養母は言葉の意味は分からなかったが、息子が非常に喜んでいることがわかると思わず顔をほころばせた。
「まあ、ずいぶん楽しそうね。読んだ本のお話かしらっ・・・」
だが、養母の言葉はそれ以上続けられることはなかった。突然彼女の首から上が消失したからだ。