第132章 光明<参>
日が差す中を禰豆子は、優し気な視線を炭治郎と汐に向けていた。
「禰豆子・・・」
炭治郎はふらつく体を汐に支えてもらいながら、ゆっくりとその手を禰豆子へと伸ばした。
「良かった・・・」
目から涙をとめどなく溢れさせながら、炭治郎は言葉を紡いだ。
「大丈夫か?お前・・・、人間に・・・」
すると禰豆子は、そのままふにゃりと柔らかい笑みを浮かべながら口を開いた。
「よ、よかった。だい・・・、だいじょうぶ。よかったねぇ。ねぇ」
禰豆子は炭治郎の言葉をオウム返しに繰り返していた。
よく見ると目は鬼の者であり、口の中には牙も見える。人間に戻ったわけではないようだった。
落胆する炭治郎だが汐は気づいていた。鬼の気配はそのままだが、明らかに今までとは何かが違うと。
少なくとも、悪い方向へは向かっていないようだった。
「みんなありがとうなぁ。俺達の為に」
声がして振り返れば、先ほど半天狗に襲われかけた里の者たちが駆け寄ってきていた。