第131章 光明<弐>
「禰豆子が・・・、禰豆子が・・・っ」
炭治郎の目から大粒の涙があふれ出し、地面を黒く染めていく。
炭治郎が禰豆子を見捨てるはずはない。その事を、汐は誰よりも知っているつもりだった。
だからこれは、禰豆子が自分自身で選んだ結末だったということを。
「っ!!」
汐は膝をつくと、左腕で炭治郎の頭を抱え込むようにして抱きしめた。
この行為に意味などないかもしれないが、炭治郎をこの残酷な結末から少しでも遠ざけたいという、汐のささやかな我儘だった。
抱きしめられた炭治郎は、汐の胸元に顔をうずめて隊服を握りしめた。
戦いには勝った。だが、炭治郎は禰豆子という最愛の妹を失った。
陽の光に焼かれて、禰豆子は骨すら残らない。今まで戦ってきた意味を、この瞬間自分は失ってしまった。
その現実を拒絶するかのように、炭治郎は汐に身体を預けて、肩を激しく上下させながらすすり泣いた。
(何なのよ、これ。こんなの、こんなの。あんまりよ・・・。惨すぎるわよ・・・!!)
汐は悔しさのあまり、唇が切れる程かみしめた。だが、ふと何かの気配を感じて顔を上げると、そこには。