第131章 光明<弐>
「え・・・」
汐の口から、力のない声が飛び出した。目の前に広がる光景に、我が目を疑った。
「炭治郎」
汐は未だに顔を上げない炭治郎を呼ぶが、炭治郎は聞こえないのか動かない。
「炭治郎っ。炭治郎ってば・・・!!」
汐の声が大きくなり、ようやく炭治郎も反応を見せた。
恐る恐る顔を上げれば、汐は驚愕を張り付けた表情で後ろを見ている。
「炭治郎・・・!あれ、あれ・・・!!見て・・・」
汐がかすれた声で後ろを指さし、炭治郎もゆっくりと振り返った。
そこにあったのは、否、いたのは。
「禰豆子が、禰豆子が・・・」
日光を浴びて尚、その姿を保っている禰豆子だった。
「太陽を、背にして・・・!!」
皆が言葉を失う中、汐の羽織を肩に掛けた禰豆子は、口枷が外れた口をゆっくりと動かす。
「お、お・・・おはよう」
禰豆子の歯切れのよい声が、汐達の耳に優しく届いた。