第131章 光明<弐>
すると、そんな兄を見かねたのか。禰豆子の足が動き、炭治郎を思い切り蹴り飛ばした。
「・・・っ!」
空中に投げ出された炭治郎が見たのは、全身が焼けただれて行く中笑顔を見せる、最愛の妹の姿。
まるで、私の事は気にしないで。みんなを助けて。と言っているかのように。
(禰豆子・・・!!)
炭治郎は身をひるがえすと、あふれる涙をこらえながら走り出した。
遠くから鬼と汐の匂いが流れてくる。その匂いを辿りながら、炭治郎はひたすら走った。
同時刻、汐は悲鳴を頼りに鬼の居場所を探していたが、疲弊しているせいか鬼の気配が感じづらくなっていた。
早く仕留めねばと焦る汐の耳に、切羽詰まった声が聞こえてきた。
「汐ーー!!俺が誘導する!!そのまま走れぇぇえ!!」
それは、まごうことなき炭治郎の声。汐は一瞬驚いたものの、言う通りに走った。
すると少し先に、里の者に今にも襲い掛かろうとしている半天狗の姿があった。
「テメェエエエ!!!潔くあの世へ行きやがれェエエエ!!」」
汐は叫び声を上げながら、半天狗に向かって刀を振り下ろした。固い音が響き、刃が微かに食い込む。
すると半天狗の腕が大きく動き、汐の右肩を掴んだ。
肩が外れる鈍い音と共に激痛が走るが、それに構うことなくさらに刀を強く握った。