第131章 光明<弐>
「縮めろ!!体を小さくするんだ!!」
炭治郎は汐の羽織で禰豆子を覆い、己の身体で日陰を作ろうとする。
しかし、禰豆子の身体はみるみるうちに焼けただれて行く。
(まだ陽が昇り切ってなくてもこれほど・・・!!)
炭治郎は唇をかみしめながら、必死に禰豆子を庇った。
背後から悲鳴が再び聞こえ、炭治郎ははっとした。汐は、半天狗の本体の潜んでいる場所を知らない。
鬼の気配を感じることはできても、伊之助程正確にはできない。それに、汐自身も満身創痍で動くのがやっとのはずだ。
(汐が危ない・・・!ああでも、禰豆子をこのままにできるはずがない!!)
崖の方を向けば、玄弥が必死で降りようとしている姿と、飛び降りようとして小鉄に止められている無一郎の姿が目に入った。
とても間に合うはずがない。
炭治郎は鬼も朝日で塵になることを想像したが、その前に汐や里の者がやられる可能性が高い。
炭治郎は迷っていた。禰豆子を取るか、汐や里の人達を取るか。
勿論、どちらかを犠牲になどできない。したくはない。だが、迷っていればどちらも失う。
その決断を、炭治郎はすることができなかった。