第131章 光明<弐>
「うわああああ!!逃げろ、逃げろ!!」
「死んでない。頸を斬られたのに・・・!!」
里の者たちが慌てふためき、何かから逃げている。視線を動かせば、そこには頸のない鬼の身体が里の者たちを追いかけていた。
「なん・・・!?」
それをみた汐は思わず声を上げた。本体の頸は、炭治郎が斬り落としたはずだ。
「まさか・・・、あれも本体じゃ・・・ない・・・!?」
汐は頭から冷水を浴びせられたような感覚を感じた。
(ふざけんな!!ここまで来て・・・!!)
汐はふらつく体でなんとか立ち上がり、半天狗の方へ視線を向けた時だった。
「ギャッ!!」
絹を裂くような悲鳴と、何かが焼ける嫌な音。そして
「禰豆子!!」
炭治郎の悲鳴に近い声が響き渡った。
振り返れば、そこには陽の光に身体を焼かれる禰豆子と、必死で禰豆子を覆い隠そうとする炭治郎の姿。
「炭治郎!!禰豆子!!」
汐は一瞬だけ迷いを見せたが、すぐに炭治郎の方へ向き自分の羽織を脱いで投げ渡した。
「これを・・・、使って!!」
炭治郎が汐の羽織を受け取ったのを見届けると、汐はすぐさま悲鳴の聞こえた方へ走り出した。