第131章 光明<弐>
(まずい、夜が明ける!日が昇ったら、禰豆子が危ない!!)
汐は何とか身体を動かそうとするが、全身が麻痺したように動かない。
禰豆子は力を使いすぎたせいか、うとうとと眠そうに目をこすっていた。
炭治郎もその事に気づいており、禰豆子に安全な場所に隠れるように伝えようとした。
だが、技の反動で声が出ず、出るのはか細い咳だけだ
禰豆子は満身創痍の兄の姿を見て目を見開くと、慌てたように駆け寄ってきた。
(違う!!禰豆子、こっちに来なくていい。お前だ、お前なんだ危ないのは。日が差すから・・・)
声が出せない炭治郎は、心の中で必死に叫んだ。しかし禰豆子は焦りを浮かべたまま、炭治郎の元に駆け寄った。
「禰豆子!!逃げろ・・・!!日陰になるところへ・・・!!」
「ううっ、うう!!」
しかし禰豆子は、炭治郎の制止も聞かず、何かを訴えるように声を上げた。
その時、炭治郎の鼻が微かに鬼の匂いを捕らえた。
「!?」
炭治郎が振り返ると同時に、耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきた。