第131章 光明<弐>
「炭治郎、それを使え!!」
「返せ!ふざけるな殺すぞ使うな!!」
必死で叫ぶ無一郎を、鋼鐵塚が怒りながら首を絞めている。
「第一段階までしか研いでないんだ、返せ!!」
「夜明けが近い、逃げられるぞ!!」
怒りのあまり暴れ出す鋼鐵塚の拳を受けながら、無一郎は必死で叫んだ。
(時透君・・・)
炭治郎は投げ渡された刀の柄をしっかりつかむと、大きく息を吸った。
(ありがとう!!)
炭治郎の口から炎のような呼吸音が漏れた瞬間。
空気を震わすような爆発音が響き渡った。
半天狗が振り向いたその時には、もうすでに刃はその頸に届いていた。
円舞一閃
善逸の【霹靂一閃】の動きを参考に取り入れた、炭治郎の新たな技が半天狗の頸をついに穿った。
巨大な頸が綺麗に体から離れ、落下していく様を汐も見ていた。
(やった、やった・・・!!斬った、斬った!!)
汐は身体が動かないことも忘れ、喜びに顔をほころばせた。
だが、汐は見落としていた。ここは大きく開けており、日陰になる場所が殆どない。
そして、もうじき夜明けが近いことも。
それに気づいたのは、空がうっすら白みだしているのを見た時だった。