第131章 光明<弐>
「逃がさないぞ・・・。地獄の果てまで逃げても追いかけて、頸を、斬るからな・・・!!」
炭治郎の口から出たのは、怒りと憎しみが籠った声。その気迫に半天狗の背筋に冷たいものが走った。
慌ててあたりをもう一度見渡せば、草むらの影に刀を持った里の者が慌てふためいているのが見えた。
(いた。人間(くいもの)だ・・・!!)
食料を見つけた半天狗は、力を振り絞って走り出した。
(童四人のうち、一人は鬼、もう一人はワダツミの子で厄介じゃ。悉く邪魔される)
時間が経ち、段々と戻ってくる足の感覚に感謝しながら、半天狗は走り続けた。
(結局あの童の刀は、儂の頸に食い込むだけで斬れはせん。まず先に、あの人間を喰って補給してから・・・)
炭治郎は痛む体を叱責しながら、枝から滑り落ちるようにして地面に降り立った。
すぐさま立ち上がり、もう一度先ほどのように地面を蹴ろうと足に力を込めた時だった。
頭上から風を切るような音が聞こえ、すぐに大きくなったかと思うと炭治郎の前に何かが落ちてきた。
(!?)
炭治郎は突然の事に一瞬だけ思考が停止したが、それが一本の刀だということがわかった。
「使え!」
間髪入れずに聞こえてきた声に振り返ると、いつの間にか崖の上に人影が増えていた。
その声を聞いて、炭治郎は思わず笑顔になった。そこには、時透無一郎と鉄穴森、小鉄、鉄火場、鋼鐵塚の姿があった。