第131章 光明<弐>
「あ、あんた・・・!鬼だからってなんて無茶を・・・!!ううん、違うわね。助けてくれてありがとう」
しかし汐は禰豆子への叱責を飲み込み、助けてもらった礼を言った。
「そうだ、あいつ・・・!それと炭治郎は・・・!?」
汐は禰豆子に下ろしてもらうと、慌てて辺りを見回した。
炭治郎の姿はない。だが、半天狗は炭治郎の刀を頸に食い込ませたまま、ふらふらと動きだしていた。
「こいつっ・・・!!」
汐は慌てて追いかけようとするが、突然強烈な眩暈を感じて蹲った。
ウタカタの新技を二度も使い、新たな型も撃った反動で身体が言うことを聞かないのだ。
(そんな・・・、こんな時になんで・・・!あと少しで奴を仕留められるのに・・・!!)
汐は動かない身体を激しく憎む中、満身創痍の半天狗は覚束ない足取りで動いていた。
(まずい、再生が遅くなってきた。"憎珀天"が力を使いすぎている。人間の血肉を補給せねば・・・)
半天狗はあたりを見回すと、少し離れた場所人間の気配を感じた。
「待て」
だが、半天狗がそちらへ向かおうとしたとき。鋭い声が響いた。
思わず顔を向ければ、そこには木の枝に身体を預けた炭治郎が、こちらを睨みつけていた。