第130章 光明<壱>
(そんなことさせない!!俺たちが、お前には勝たせない)
炭治郎は必死に半天狗を追うが、先ほどの攻撃で左足をやられているため激痛で踏ん張りがきかない。
禰豆子も玄弥も、もはや体力は限界に近かった。
(せめて、せめて・・・。一瞬だけでもいい。あいつの動きを止められたら・・・。あいつの耳に、少しでも歌が届けば・・・!!)
だが、半天狗は束縛歌が届く範囲外におり、仮に届いてもすぐに拘束は解かれるだろう。
(でもやるしかない!例え何の力になれなくても、少しでもみんなの役に立てるのなら・・・!!)
汐は走りながらウタカタの呼吸音を響かせた。弦を弾くような、高い音。
そして頭の中に流れ込む、束縛歌の旋律。
すると、その旋律は突然。いつもとは異なる旋律へと変わった。
鬼を確実に捕らえる。絶対に逃がさない・・・!!
――ウタカタ 参ノ旋律・転調――
――繋縛歌(けいばくか)!!!
汐の口から歌が放たれた瞬間、時が止まったような奇妙な感覚が広がった。
それは汐の遥か前を走っていた半天狗の耳にも届いた。