第130章 光明<壱>
「汐危ない!よけろーーー!!」
炭治郎が叫ぶと同時に、玄弥は怒りに任せて大木を放り投げた。
大木は綺麗な放物線を描き、汐を飛び越え半天狗の方向へと叩き落された。
「うわああああああ!!!」
いきなり飛んできた大木に汐は悲鳴を上げるが、それをかき消す玄弥の怒声が響き渡った。
「ガアアアアアッ、クソがァァァ!!いい加減死んどけお前っ!!」
玄弥は再び大木を引き抜くと、怒りに任せて再び放り投げた。
「空気を読めえええ!!」
投げられた大木は半天狗の進路を塞ぎ、たまらず悲鳴を上げる。
そこにすかさず、追いついた禰豆子が爪を振り上げた。
「ヒイィィ!!」
半天狗は小さな体を生かして禰豆子の攻撃をかいくぐると、そのまま恐ろしい速さで再び逃げ出した。
「足速ェェ!!何なんだアイツ、クソがァアアア!!追い付けねぇええ!!」
玄弥の怒声が飛び、汐も苛立ちが頂点に達する中、炭治郎は半天狗の狙いに気づいた。
半天狗の狙いは延々と逃げ続け、夜が明ける前に蜜璃が潰れるまで粘る事だった。