第130章 光明<壱>
「貴様アアア、逃げるなアア!!責任から逃げるなアア!!」
雷鳴のような炭治郎の声が森中に響き渡り、半天狗の身体が一瞬硬直する。
「お前が今まで犯した罪、悪業、その全ての責任は必ず取らせる!!絶対に逃がさない!!」
その言葉を聞いた半天狗は、一瞬、同じようなことを誰かに言われたような錯覚に陥った。
『貴様のしたことは、他の誰でもない貴様が責任を取れ。この二枚舌の大嘘つきめ』
(大嘘付き?馬鹿な)
半天狗は走りながら、首を横に振った。
(儂は生まれてから一度たりとも嘘など吐いたことがない、善良な弱者だ。これ程可哀想なのに、誰も同情しない)
半天狗はそう自分に言い聞かせながら、ひたすらに逃げ惑った。
(くそっ、ここからじゃ束縛歌が届かない・・・!!早くケリをつけないと、みっちゃんがもたない・・・!!)
汐は顔を歪ませながらも、半天狗を逃がすまいと必死で後を追った。
炭治郎も負けじと、汐の後を追おうとしたときだった。
炭治郎の背後で、メキメキという奇妙な音が聞こえた。そして否が応でもわかる、激しい怒りの匂い。
「いい加減にしろ、このバカタレェェェェ!!」
炭治郎は後ろを振り返り、ぎょっとした。玄弥が自分の何倍もある大木を担ぎ、振りかぶっているところだった。