第129章 強くなれる理由<肆>
「うわああん!酷い、酷い!!しおちゃんの馬鹿ァ!!」
「ご、ごめんって!流石に言いすぎたって、危ない!!」
汐が弁解しようとしたとき、鬼の背後の二つの竜が、蜜璃に向かって口を開けた。
狂鳴雷殺!!
木の竜の音波と雷の攻撃が組み合わさり、嵐のようになって蜜璃を襲う。
「甘露寺さん!!」
炭治郎が思わず叫ぶと、汐は首を小さく横に振って言った。
「大丈夫よ。あんな攻撃、柱のみっちゃんに通じるもんか」
汐の自信に満ちた言葉の意味は、次の瞬間に炭治郎も理解することになった。
――恋の呼吸 参ノ型――
――恋猫しぐれ!!
蜜璃は猫のように縦横無尽に飛び跳ねる様に動き、刀を振り回した。
すると鬼の攻撃自体が、しなる刀によって全て両断された。
「私、怒ってるから!見た目が子供でも許さないわよ」
蜜璃の技を初めて見た炭治郎は、口をあんぐりと開けたまま石のように固まった。
「やれやれ。相変わらずぶっ飛んだ動きするわ、我が師匠は」
炭治郎の手当てをしながら、汐は呆れたような嬉しそうな表情でそう呟いた。